松野貞文の全国視察レポート

イタリアを食べよう!創業100年のトキタ種苗へ

埼玉県加須市のトキタ種苗株式会社 大利根研究農場へ訪問しました。
トキタ種苗
トキタ種苗株式会社は、国内の拠点は埼玉県さいたま市に本社、加須市に大利根研究農場、海外は中国、インド、イタリア、アメリカに拠点をおき、今年創業100年を迎えた種苗会社です。
トキタ種苗
日本のミニトマト先駆け「サンチェリーシリーズ」、イチゴの形のミニトマト「トマトベリー」、日本の気候に合わせて育てやすくしたイタリア野菜「グストイタリア・シリーズ」、日本発のスティックカリフラワー「カリフローレ」、サラダ用のケール「カリーノケール」、手のひらサイズのベビー白菜「娃々菜(わわさい)」、ほくほく甘く貯蔵性も高いかぼちゃ「くり将軍」・・・どれかひとつでも、聞いたことがある、育てたことがある、という方も多いのではないでしょうか?
トキタ種苗
小松菜だけでも1年間に200品種以上栽培・研究しているというだけあり、圃場には、それぞれの野菜の数多くの品種が育っています。こうして並んで育っていると、品種の違いも一目瞭然。
トキタ種苗
松野社長もその違いに「圃場を見ることは大切。学ぶことがたくさんある」と話します。
トキタ種苗
まつのの「まつの幸せ野菜ボックス」のアイテムで入れたことがある「鍋ねぎ」や、ミニトマト「あまえぎみ」の緑色の品種「ミドリちゃん」もありました。
トキタ種苗
トマトは、赤など色がまわったら収穫時期ですが、緑色は見極めが難しいですね。
トキタ種苗
「少し黄色がかったら、完熟ですよ」とその場で、収穫してくださいました。
トキタ種苗
松野社長は、まだ青いものと黄色がかったもの、両方を食べ比べ。
トキタ種苗
収穫時期の緑色のトマトは、すっきりとした甘み。赤・黄・オレンジなど、いろいろな色のトマトと合わせるとカラフルになって楽しいですね。
トキタ種苗
トキタ種苗といえば、「グスト・イタリア」シリーズ。イタリア野菜を日本の気候に合わせて栽培しやすいように育種しています。カーボロネロ、ちりめんキャベツ、ロマネスコなどなかなか畑で育っている様子を見ることのない野菜がずらり。
トキタ種苗
その中でも、スティックカリフラワーの「カリフローレ」と苦みの少ないケール「カリーノケール」が人気とのこと。
トキタ種苗
カリフローレは、茎までおいしく食べることのできるスティックカリフラワーとして、大手スーパーやレストランなどに採用されています。

カリーノケールは、ここ何年か注文数が生産より上回り、一時は栽培が追い付かないほどだったそう。こちらは、「カリーノケール・ヴェルデ」。
トキタ種苗
大手ファミリーレストランのサラダバーに採用されています。フリルのような見た目を活かして、パワーサラダやチョップドサラダとしてはもちろん、炒め物、鍋物など幅広く使用できるお野菜。一般的なケールに比べ、苦味が少ないため食べやすいことや、β-カロテンやビタミンEなど栄養豊富なことも魅力です。紫色は「カリーノケール・ロッソ」。フリルの形や色合いがサラダの彩りにピッタリです。
トキタ種苗
ズッキーニは、このように支柱を使っています。
トキタ種苗
「研究農場だからできますが、一般の農家さんですと手間がかかるのでなかなかできないと思います。」とトキタ種苗の中島紀昌さんはおっしゃっていました。
トキタ種苗
紫コマツナや、紫ミブナ、紫パクチョイなど、紫色の葉物がたくさん。これらは、ベビーリーフとして、主に海外で利用されています。
トキタ種苗
近年、大人気のパクチーは、ふわふわとした珍しい葉の形の「ナリー」という品種がありました。
トキタ種苗
一般的なパクチーと交互ににおいを確認する松野社長。「うん、パクチーだ」と納得していました。
トキタ種苗
また、サラダなどの彩りに欠かせないトレビスにも力を入れています。現在、トレビスはアメリカやメキシコ産など、輸入もされています。輸入野菜が届くまでは現地収穫から1週間以上ですが、国産野菜なら届くまで3日以内と、新鮮な状態でお届けできます。また、輸入のトレビスと比べ、国産のトレビスは大きめに作るので、レストランなど飲食関係では使いやすいサイズとなります。「問題点を解決し、周年供給をできるようにしたい」とトキタ種苗の中島さんは語ります。
トキタ種苗
「本当に食べたいおいしい野菜」の開発に取り組むトキタ種苗に、これからも期待したいと思います。

食のバリアフリーを目指す低カリウムの「ドクターメロン」

今回、松野社長はメロンの一大産地として名高い静岡県袋井市へ。「ドクターメロン®」を求めて、静岡県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエの小櫛香穂さんと農業ベンチャー「Happy Quality」を訪問しました。「ドクターメロン®」とは一体…?「ドクター」と呼ばれる所以、その謎を解き明かします!

「たとえ食事制限で食べることが難しい方でも、お祝いの日には家族団らんでメロンを楽しんでほしい」という思いから開発された低カリウムメロン「ドクターメロン®」。カリウム含有量を一般的なメロン半分以下に抑え、食事制限が必要な腎臓病の方々でも食べやすいメロンを実現したのが「Happy Quality」です。
Happy Quality
なぜ「低カリウム」なのか?果物や野菜などに含まれるカリウムは人体に必要なミネラルの一種でありながら、慢性腎不全などで人工透析を受ける患者は摂取制限されるケースが多くあります。

国内に慢性腎不全で継続的な治療を受けていると推測される患者数は、厚生労働省が3年ごとに実施する「患者調査結果の概要」によると2014年には29万人以上と発表されています(参照元:厚生労働省HP「 統計情報・白書 」 患者調査の概況)。
ドクターメロン
(画像:Happy Quality)

メロン1個あたりのカリウムは約3400ミリグラム。そこで「ドクターメロン®」はカリウム含有量を半分の約1700ミリグラム以下に抑えることに成功しました。「家族団らん」をテーマに掲げて美味しさも追及し、糖度は通常のマスクメロンと同等の13~14度を実現しています。

こちらが代表取締役の宮地誠社長。
宮地誠社長
野菜や果物の生育に欠かせないカリウムを減らす栽培方法について、「理論上は低カリウムメロンができることはわかっていたので、それならチャレンジして栽培システムを確立させようと。センサーで測定しながら 膨大なデータを約2年半かけて収集し、試行錯誤しながら栽培を行いました。カリウムをゼロにすることも可能ですが、糖度は低くなってしまう。その相関を追及しました」と宮地社長は語ります。

静岡大学とも協力し、少量培地による低カリウムメロンの栽培を実現し、現在は播種の時期をずらしなが栽培しています。私も大きな葉を広げて「ドクターメロン®」が育つ様子を見ることができました。
ドクターメロン
ハウス内外に設置したセンサーで測定したデータに基づき、コンピューターが養液の量やタイミングを調整してくれます。液中のカリウム濃度などをコントロールする栽培システムは、約2年半かけて確立させたそうです。

メロンの栽培は小さなポットで行われます。農産物の少量培地での養液栽培は、静岡大学農学部と共同で研究を進めて確立させたそう。水や培養液を注入する管とつながるシンプルな構造で、苗の入れ替え作業も手間なく行えます。
ドクターメロン
こちらが使用している栽培ポット。
ドクターメロン
栽培を始めた当初に使用していたのが左のポット。大きさは片手を広げてのせることができる大きさ。そこからさらに小型化へ。いまでは右の小さなポットで栽培しています。大きさはまさに手のひらサイズ。

中にはロックウールと呼ばれる人工繊維を詰めます。
ドクターメロン
ロックウールは無機質素材。カリウムの数値をコントロールするためには、土などの有機物ではなく、無機質であることがポイントです。
ドクターメロン
少量培地ポットが棚に設置され、温室ハウス内はすっきりとしています。この栽培設備は宮地社長が一から作り上げたそうです。材料も汎用品を利用してているので、コストも最小限で作ることができます。
ドクターメロン
宮地社長の前職、実は市場で活躍していた静岡メロンのセリ人。静岡県のメロン農家が年々減少していることを危惧した宮地社長は「メロンを作ることから始めてみよう」と独立。使われてない温室ハウスを利用して、メロン栽培を始めました。

汎用品を用いた設備は初期投資を少なくして負担を減らすことができることから、「今後は新規参入者の技術サポートなども行っていきたい」と宮地社長。

通年収穫が可能な「ドクターメロン®」は、カリウムを抑えたことで通常のメロンよりエグミが少ないのが特徴 なので、メロンでピリピリとした刺激を感じる方にも好まれそうです。
ドクターメロン
「経験や勘に頼る栽培ではなく、データに基づいた栽培管理で誰でもできる農業を目指しています」と宮地誠社長。栽培ハウスとは別に研究棟もあり、日々より良い栽培手法の研究に取り組んでいます。

トマトの栽培も行っているとのことで、トマトの栽培ハウスも見学しました。
ドクターメロン
手にしているのは中玉トマト。ミニトマトほどの大きさですが、小さな粒に味が濃縮していました。松野社長もその場で味を確認し、甘みとコクを感じる濃い味のトマトに驚いていました。

食のバリアフリーを実現した低カリウムのドクターメロン®。食を楽しむための選択肢の一つとして、この食材を必要とする多くの方へ届いてほしい…と願わずにはいられないメロンでした。

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